ベネッセ教育総合研究所は2020年1月17日、「高1生の英語学習に関する調査」の結果を公表しました。
英語が「得意」と回答した生徒は4割強。英語を苦手と感じるようになった時期は、「中1の前半」と「高1の前半」が多い傾向にあった。
英語が「得意(とても+やや)」と回答した生徒は44.0%、「苦手(とても+やや)」と回答した生徒は55.4%。「苦手」と回答した生徒に「英語が苦手と感じるようになった時期」を尋ねたところ、「中1の前半」が18.2%ともっとも多く、ついで「高1の前半」17.3%、「中1の後半」15.6%、「中2の前半」12.5%と続いた。
-ベネッセ教育総合研究所HPより抜粋-
英語は半数以上が苦手と感じているようで、苦手になる時期は中1~中2の前半までに多くなっているといえます。しかし、英語は大学受験ではほぼ必須科目であり、社会に出ても仕事の幅も広がる重要な科目の一つといえます。今回は英語が苦手になる理由とその対策についてまとめてみます。
単語が覚えられない(ステップ1)
同じ時間だけ英単語を覚えても全く書けない・発音ができないという生徒は一定数います。そして単語が覚えられない生徒はほぼ全てが英語が苦手になります。なぜ覚えられないのかというと、英語の発音の仕方の法則をほぼ理解できていないからです。
発音の法則としてPhonics(フォニックス)があります。英会話教室に入るとフォニックスを学習する機会がある方も多いと思いますが、少し紹介します。
apple
この単語は小学生のうちからたくさんみてきているので「アップル」と読める生徒は多いでしょう。スペルで読むと「エー・ピー・ピー・エル・イー」となり、ひらがなの感覚だと文字と音は1対1対応ですので、この方が法則としてはわかりやくあります。
「a」はアルファベット式で読むと「エイ」ですが、appleの「a」は「ア」に近い発音になり、これがフォニックスにあたる発音になります。単語が覚えられない1つの理由としては、アルファベット式ABCの発音と単語になったときの発音が一致していないことにあります。
フォニックスの一例
a→ア
b→ブ
c→ク
単語がおぼえられない場合の対策ですが、まずは正しい発音を聞いて、自分で発音をする時間を増やすことです。いきなり、単語テストだからといって英単語を書く練習ばかりしてもなかなか覚えられないでしょう。まずは正しい発音を聞いて、自分で発音して、それから覚えることを繰り返してください。単語を発音できないままノート1ページ書いたとしても覚えられないのです。たとえ覚えたとしてもすぐに忘れてしまうことでしょう。
単語の正しい発音を繰り返していけば、だんだんと発音の法則が身についてフォニックスも少しずつ理解できてきます。初めて見た単語でもなんとなく発音がわかるというところまでもっていけます。そうなれば、単語覚えも効率よくできることでしょう。
英語の文法がわからない(ステップ2)
日本の中学校・高校での英語のテストは文法がメインになることが多いです。英語がつまづく大きな理由の一つとして、文法がわからないということがデータでも明らかになっています。
なぜ文法がわかりにくいかというと、日本語と英語の語順が異なっていることに起因します。
I wanted to go shoppoing last Sunday.
この文を訳すと”私は先週の日曜日に買い物に行きたかった”となりますが、前の方から順に訳すとこうなります。
I / wanted to / go shopping / last Sunday.
私は / したかった / 買い物に行く / 先週の日曜日
このように英語と日本語の語順は異なっています。この語順の違いが、文法のわかりにくさに繋がっています。英作文や語句並び替えなどは苦手な生徒にとって日本語と英語のどの部分が対応しているのかがわからないのです。
文法が苦手な生徒の対策ですが、次のことを大切にしてください。
① 音読する
② 英単語の品詞を覚える
③ 英語と日本語の語順のルールを理解する。
④ まる覚え暗記法
①音読をする
音読をすることは、単語だけでなく文の構成を自然と身につけることに繋がります。そして、毎日5分~10分と決めて継続しましょう。それだけでも英語の感覚がみについてきます。まずは教科書で十分。繰り返し音読をして、上手に読めるようになってきたら、英語のやさしめの絵本などを購入し、いろいろな英文にあたってみましょう。
②英単語の品詞を覚える
単語を覚えた後は、品詞も覚えましょう。おおざっぱに名詞・動詞・形容詞・副詞を分けられるようになれば、トンチンカンな間違いはなくなっていきます。例えばstudyは動詞、interestingは形容詞という具合に、品詞とその役割を覚えることで文法も理解しやすくなっていきます。
③英語と日本語の語順のルールを理解する
英語の語順の基本は、特に英作文に活きます。
私は 明日 本屋に 行く つもりです。
これを英作文にするときは主語を書いた後は、日本語の後ろから英訳をしていきましょう。
私は つもりです 行く 本屋に 明日
I will go to the book store tomorrow.
英作文の際には、どこから手をつけていけばいいのかわからないことが多くなります。まずは日本語と英語の基本ルールを定着させましょう。
④まる覚え暗記法
英語がとにくかく苦手だという生徒におすすめしているのは、まる覚え暗記法です。文法1つ1つを細かく説明するのは一旦やめにして、単元ごとの例文をまる覚えしてしまうのです。苦手な生徒にとっては、理解するよりも覚える方が実際にやることのイメージがしやすく、とっかかりには最高です。テスト範囲の例文をまずはノートやプリントにまとめて書きます。そして次のようにやってみてください。
例文まる覚え法
①英語の例文をすらすら読めるようになるまで音読する。
②日本語訳をみながら英語で言えるようにする。
③何も見ずに英語の例文を暗唱してみる
④日本語を見て英語で書いてみる
②まででも効果は出てきますが、③までできればかなりの効果が期待できます。④までできればテストで高得点も期待できるでしょう。大切なのは毎日10分でも継続することです。
模試などの長文読解が苦手(ステップ3)
学校のテストはそれなりにとれるけど、模試や復習テストなどになると英語で点数が取れないという悩みは多いです。学校での点数がとれているということは範囲を絞った場合の勉強方法か確立できているということなので、次のステップに入る段階に来ているということです。模試の長文は初見の文章ですので、本当の意味での英文読解の力が必要になってきます。
模試などの長文読解が苦手な生徒の対策は、原因をはっきりとさせる必要があります。
単語の意味がわからない→単語勉強時間を増やす
文法がわからずに訳せない→わからない文法をあぶりだして復習
時間が足りない→時間を測って英文を読む練習をする
以上のようになります。まずは自分の弱点を克服することを努めましょう。
そして、英文を読む際にオススメなのがスラッシュリーディングです。英文をまとまりごとに区切って前から読んでいくものです。
My mother says junior high school students shouldn’t have smart phones. I agree with your mother. You can use your home phone.
上記の英文をスラッシュリーディングでまとまりごとに区切ると次のようになります。
My mother says/ junior high school students/ shouldn’t have smart phones./ I agree / with your mother./ You can use / your home phone./
私の母はいう / 中学生は / スマートフォンを持つべきではない。/ 私は賛成する/ 私の母に 。/ あなたは使うことができる/ あなたの家の電話を/
もう少し細かくわけることもできますし、慣れて来るともう少し大きく分けても良いでしょう。大事なことはまとまりごとに自分がわかりやすくすることです。スラッシュリーディングをすることで語句の感覚もつきますし、続けていくうちに読解が早くなります。
最後に、英語が苦手という生徒は、まずは英語の学習時間を増やすことが大切です。宿題だけやっているのでは英語の克服はできません。英語の勉強スケジュールを立てて継続しましょう。テストや模試などがあったら必ずその復習をして、何ができないのかを確認してください。間違い直しは最高の勉強方法の一つです。
英語は時間はかかりますが、正しく勉強すれば必ず上達していきます。あきらめずに自分ができるレベルを確認してそこから学習スタートしましょう。3か月は何が何でも続けるという強い気持ちで学習にに臨んでください。そのころには少しずつ変わってきている自分に気づくことができるはずです。そこからは、英語学習が自然と日常生活に溶け込んでいけるでしょう。