公立高校入試制度の変更について(一般枠)

2023年より公立高校入試制度が変更されます。2021年度の中学2年生が受験する年に変更されることになります。それについての解説と、対応についてまとめたいと思います。

まずは、変更点についてまとめたものを表にしました。

変更点① 選抜Ⅰ(推薦入試)が廃止されて、入試は1回に統一

現行の入試は2回実施されていましたが、選抜Ⅰが廃止され実質1回勝負になりました。入試Ⅰでは内申点と小論文で合否判定をする高校が多く、学校の成績がかなりのウェイトを占めていました。今後は学校の成績がよくても実力がなければ公立高校を合格するのは厳しくなりますので、実力もしっかりつけていく必要があります。また、1回勝負になるので、どの高校を受験するかをしっかり精査することも大事です。
※現行制度では実際には選抜Ⅲがあり、定員割れした学校が実施します。選抜Ⅲにあたる入試は制度変更後も継続して行われる予定です。

変更点② 自己表現カードの導入と自己表現(面談形式)の機会を全員に課す

現行では選抜Ⅱにおいて面接を実施する高校は一部でしたが、今後は全員が面談形式の自己表現をする機会が設けられます。その際には自己表現カードを使用して臨んでもよいです。

自己表現カード見本

自己表現の合否判定の割合は全体の2割ですので、決して無視はできないものです。実際には大きく点数が開くことはないと予想されますが、人前でしゃべることが苦手な生徒は練習をしておきましょう。何度も練習することで本番であわてなくても済みます。また普段から自分の良いところや、何に取り組んでいるかを人に説明する練習をしてみましょう。小さいことでもよいので人に説明すると自己表現のスキルがみにつきます。まずは家族の方に聞いてもらい、感想を聞いたり、アドバイスしてもらうのがおすすめです。慣れてきたら学校の先生や友達などに話をしてみてください。雑談をするような気持で臨むと気が楽です。

変更点③ 学力検査の割合が6割、内申点の割合は2割

現行では、学力検査と内申点の割合はほぼ5割ずつでした。つまり、変更後は学力検査6割、内申点2割なので学力検査の割合が増え、内申点の割合が減ったということになります。内申点の内訳は【中1:中2:中3=1:1:3】となり、中3での内申点が重要視されるようになります。ですが、内申点は全体の2割ですので、学校の内申点で志望校を選ぶことはできません。学校の復習テストや全国模試などで点数を取れるように実力をつけていく必要があります。

どのような生徒が合格できるか

現行の制度では、学校のテストや授業、提出物をがんばってきた生徒は内申点が高く、選抜Ⅰではやめに合格したり、選抜Ⅱでも内申点が5割影響するので受験においては有利でした。今後は内申点の影響は少なくなり、主体的に自分をアピールしたり、計画的に勉強をできる生徒が有利になります。特に中3で頑張れば逆転しやすくなったといえます。また、あたえられたことだけをこなす生徒よりも、自分で考えて、勉強、クラブ活動、習い事、ボランティアなどの活動に取り組む生徒こそが入試でも社会に出ても役立つ力を手に入れることができます。自分の将来に一生懸命になれる生徒は、制度変更後も十分に合格できるでしょう。

私立高校の希望者も増えている

最近の流行として、私立高校への入学希望者も増えています。もちろん、公立高校が第1志望という方が多いですが、私立の特進クラスは大学受験にかなり力を入れていますし、私立高校は経済面でもかなり入りやすくなっています。2020年度より、年収が590万円未満の家庭では、私立高校に通う高校生への国の就学支援金の上限が39万6,000円に引き上げられました。つまり、授業料が39万6,000円以下の場合には「実質無償」となります。これにより、学費の面だけで私立高校に進学できなかった受験生の選択肢が広がり、私立高校がより身近になってきました。(「590万円未満」は目安です。家族の人数や年齢、保護者が共働きかどうかなどで金額が変わり、590万円を上回る場合でも適用されることがあります)

今後は私立高校と公立高校どちらも選択肢に入れやすくなり、公立高校入試では志望校を落とさずにチャレンジ受験もしやすくなるでしょう。

私立高校についてはまた記事にしますので、そちらもご覧ください。