広島の中学受験の流行(2022年)

2022年の中学受験が終わり、当塾の受験生たちもそれぞれの進学先が決まりました。長い間頑張って、やり切った生徒たちは本当に良い顔をして報告に来てくれました。

広大附属中・学院中・N清心中・修道中・女学院中の難関校は出願数はほぼ例年通りでした。
また、なぎさ中・崇徳中・安田女子中・国際学院中・修大付属協創中など専願制度を採用する学校が多くなり、第1志望の学校で採用されている場合は、専願制度を利用することで合格しやすくなります。

最近の流行は『共学化』と『多様な入試制度』にあるようです。

2019年に鈴峰女子中学校が修大付属協創中学校となり共学へ、2021年に崇徳中学校が共学化(高校は2020年)となっています。共学化により広く受験生を募集することで難易度もあがっているようです。

一方で、男子校・女子校を伝統としてその良さを生かす学校もまだ数多くあります。

次に、崇徳中学校と安田女子中学校を例に取り、多様な入試制度について述べます。
(詳細は各学校の募集要項で確認してください)

崇徳中学校

入試型入試内容
前期専願2教科型国語・算数・面接
前期専願特別選抜型基礎学力(国語・算数・英語)・面接
前期併願4教科型国語・算数・理科・社会
前期併願適性検査型非受験勉強型の試験
後期2教科国語・算数・面接

崇徳中学校では、表のように入試制度が豊富です。学力だけではなくいろいろな面で秀でた生徒を集めたいとの想いがあるようです。

特別検査型は(ア.外国における在住期間が1年以上の者 イ.スポーツや文化活動等で活動実績が輝かしい者 ウ.あゆみ(通知表)で、学習・生活の双方において極めて良好である者)のいずれかを満たす生徒が対象になります。

適性検査型の入試は、一般的な中学受験の内容を学習していなくても、小学校で習う範囲で対応できます。ただし、知識だけでなく思考力を問う問題が多いのが特徴です。また、問題文も長く資料などもよみとる力なども求められ、筆記で自分の回答を正しく伝えるという作文力も必要になります。そのため、少なくとも1年程度の対策とそれに対応した模試で慣れておく必要があります。適性検査は県立広島中学校や市立広島中等教育学校、安田女子中学校でも実施されています。

昨年度より少し出願人数は減ったようですが、このように色々な入試制度があるのに加えて入学数が90名と少ないのもあり、それぞれの入試型で合格できる生徒は多くないようです。併願4教科型で合格するには難関校合格と同レベルの学力を求められます。

崇徳高校は2020年に中学に先駆けて共学となっていますが、2021年の入学者は予想よりも大幅に多かったようで、1年生は19クラスのマンモス学年となりました。公立高校の上位を目指す生徒の受け皿として人気がでたようです。

またスポーツ強豪校として有名で、40以上のクラブは熱心におこなわれています。広島県でも歴史ある高校として大学の指定校推薦も約700人とかなりの人数です。

安田女子中学校

入試型入試内容
A日程専願2教科型国語・算数・面接
A日程専願適性検査型適性検査Ⅰ(理数)・適性検査Ⅱ(国社)・面接
A日程併願2教科型国語・算数
A日程併願適性検査型適性検査Ⅰ(理数)・適性検査Ⅱ(国社)・面接
B日程併願4教科型国語・算数・理科・社会

安田女子中学校も適性検査型を導入し、やはり非中学受験学習生の受け入れも可能にしています。また、A日程とB日程は受験料を1度納付すれば両方とも受験できるので、入試の機会が2回あるともいえます。

安田女子は英語指導には力を入れています。入試でも英検取得級に応じて加点があります。

一方で、2021年に高校でSTEAMコース新設されました。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念です。子どもを今後のIT社会に順応した競争力のある人材に育てていくための教育方針となります。

このSTEAMコースでは実際の企業と連携してバスオイル開発や子供の向けのSTAEM教材の開発、大学と連携してロボコンを目指したり、河川のヘドロ問題の解決などに取り組んでいるようです。
また、2022年2月には「リアビズ高校生模擬起業グランプリ」(認定NPO法人金融知力普及協会主催)で、折り鶴の再生紙を使ったオリジナルブックカバーの販売実績などが高い評価を受け全国25校、49チームの中で全国一に輝いています。一般企業も安田女子高校と連携して事業をおこないたい注目のコースとなっているようです。

このように学校の指導内容やコースが多様化していくとともに、中学受験の入試制度も多様化していく傾向にあります。ひとえに偏差値のみで学校を判断する時代ではなくなってきています。スポーツ面、距離、校風、コース、カリキュラム、そして偏差値を総合的に考慮し自分にあった学校を選択することが大切です。そうすることで進学後に充実した学校生活を送ることができます。その経験は学力偏差のみでは計れない素晴らしい財産になることでしょう。