2026年私立高校無償化で起きる変化

2026年度から、私立高校の授業料無償化が予定されています。具体的には、所得制限なしで、私立高校の授業料を実質的に無償化する、就学支援金の支給上限額が引き上げられ、私立の全国平均の授業料である45万7000円に引き上げられる予定です。

  • 所得制限の撤廃:2026年度からは、私立高校に通う生徒の世帯年収に関わらず、就学支援金が支給されるようになります。
  • 支援金の上限額引き上げ:就学支援金の支給上限額が、従来の39万6000円から、私立の全国平均の授業料である45万7000円に引き上げられます。
  • 実質無償化:この支援金によって、私立高校の授業料は実質的に無償化されることになります。

私立高校無償化による影響

現在、広島県の高校進学は私立25%・公立75%となっており、全国平均私立30%・公立70%よりも公立高校志望が多くなっています。今後は私立高校無償化により私立志望が増えてくると予想されます。

大阪の高校無償化は2024年から段階的に始まっており参考になります。大阪の学習塾の先生が対談している記事を抜粋します。

–授業料の完全無償化が始まり、入試に影響はありましたか。

藤山氏:これまで大阪では第1志望は公立が7割を占め、私立は併願で受験するパターンがメインでした。ところが授業料無償化が始まって1年が経ち、制度や適用学年が明らかになってきた中で、私立専願志向が高まりつつあります。

 公立の出願なく私立のみに出願する私立専願が増えている今、それら受験生・受験家庭のニーズを汲み取り、改革することが学生募集の決め手になっています。今まで私立高校の多くは、土曜日や夏休みの補習などの徹底した受験対策を武器にしてきましたが、一転して、公立高校にあわせて土曜日授業をなくす動きや、教養講座などを設けて学びを多様化する動きも増えています。一方で、かつての流れを強化し、大学進学実績をセールスポイントに、補習などの受験対策をさらに整える学校もあり、二極化が進んでいます。

 私立人気に反し、2024年度の公立高校入試では、これまで定員割れになったことのなかった学校が定員割れを起こし、大阪の高校受験界隈を揺るがしました。伝統ある地域の名門校・富田林(とんだばやし)や産近甲龍合格ランキングの上位に入る槻の木が定員割れとなったことは、その最たる例と言えるでしょう。

 こういった定員割れの話をすると「難関の公立高校が入りやすくなったのでは?」と聞かれますが、公立校の中でも偏差値上位の人気校については、校風やブランド力もあり、変わらず高い倍率を維持しています。

大阪【高校受験2025】無償化の影響で私立専願増、出題傾向と対策…開成教育グループ | リセマム
高校無償化が段階的に進められる大阪府の高校入試。個別指導学院フリーステップと開成教育セミナーを展開する開成教育グループの入試情報室上席専門研究員 藤山正彦氏とクラス指導部教務課長 照井健司氏に、特に知っておくべき変化や準備、親の心構えなどを聞いた。

大阪では、全体的に公立高校志望が減り、定員割れをする高校が増えています。伝統ある名門校も定員割れをするという事態も起こっているようです。

一方で、上位の人気公立校は高い倍率を維持していることから、広島でも定員割れをおこす公立高校は増えるものの、人気校の倍率はそのまま維持する可能性が高いです。

今後は、私立・公立問わず人気のある学校とそうでない学校と2極化が進んでいくのではないでしょうか。生徒には、確実な実力をつけて自分の行きたい学校に進んでいってもらいたいです。