大学を取り巻く環境の変化(2024年)

大学全入時代へ

近年の大学入試の傾向は大学を選ばなければ、志願者全員が大学に行ける時代ということです。文部科学省の「学校基本調査報告書」によると、18歳人口は1992年の205万人をピークに2024年には110万人を下回ることが予測されています。それに対して、大学の数は1992年の523校から2015年には779校へと大幅増加となっています。このような中、大学・短大志願者のおよそ94%が収容できる人数の募集があるようです。一部の大学では志願者全員が大学に入れる「大学全入時代」が到来しています。

大学の二極化

大学全入といっても、必ずしも志望大学に入れるわけではありません。有名校や難関校は倍率は下がらず、もともと入りやすい大学はさらに入りやすくなるという「大学の二極化」が進んでいます。

近年では学生が集まらない大学はなりふり構わず学生の確保に走って、大学教育に必要な学力レベルに満たない学生を入学させてしまう傾向にあるようです。このように、人気の低い大学には深刻な質の低下が現実のものとなっています。入試結果を公表していなかったり、倍率が極端に低かったり、中退者が多かったりするような大学要注意です。事前に情報をきちんと取得しておきましょう。医師や弁護士など資格を目指す場合は国家試験の合格率や合格数も確認しておきましょう。

地元大学への進学が増えている

地元大学への進学率(全国平均)は平成元年36%と比べて令和元年では44%となり、地元への進学率が高くなっています。大学数が増えていることも影響していますが、地元を志望する生徒が増えている傾向にあります。令和元年の広島県の地元進学率は53%となっているようです。

大学改革について

18歳人口の減少やグローバル化、大学の二極化などの大きな環境の変化の中、自分の軸をもって活躍できる人材を育成できる場として改革を迫られています。その背景には学力の低下の懸念と日本の大学の国際協力の低さという問題があります。1977年からの幼・小・中・高のゆとり教育から一転して、2008年より授業時間を増やすなどのゆとり教育の脱却を目指すことになります。

今後は社会経済のグローバル化がますます進み、大学のクローバ化が求められるようになります。英語で授業を行ったり、海外留学をしやすくしたりする事例があります。広島大学はSGU(スーパーグローバル大学)に認定され、その取り組みの1つとして、2018 年に総合科学部でさまざまな国籍や背景の学生が英語を共通語として学ぶ国際共創学科(Integrated Global Studies(IGS))を立ち上げています。

国立大学・公立大学・私立大学の学費

以前は国立大学や公立大学は学費が安いという理由で志望する学生も多くいました。しかし、現在の国公立大学の学費は「昔ほど安くはない」です。

国立大学の初年度納入額は1975年では平均8万6000円でしたが、2014年には平均81万7800円と大幅に上昇しています。公立大学の場合は平均93万6000円になります。

これに対して、私立大学の初年度納入額は1975年は平均27万8千円で、2014年には平均131万2000円となっています。

私立大学の方が高いものの、国公立と私立の学費格差は3.2倍から1.6倍に縮まっているのが現状です。このため、その差よりも遠くの大学へ進学した場合の仕送り額の方がはるかに大きな経済負担となります。

自分自身で主体的に決める

何より重要なのは、自らの意思を持って主体的に決めることです。周りがこうだからとか、流行に乗ってとか、親や教師の意見だけで進路を決めてはいけません。大学はだれのためでもなく、自分自身のために行き、将来の夢をかなえるための場なのです。

とはいえ、まだまだ知らないことや知らない世界があると思います。そのときに、先生や親のアドバイスを受けて主体的に、かつ柔軟に判断するようにしましょう。