スマホをやめれば学力は上がる?

現在、スマホ普及率は平均80%、6~13歳でも80%,13歳~19歳では96%となっているようです。まさに、一家に1台どころではなく、一人に1台になっている生活必需品スマホ。今回はスマホの使用時間と学力について考えていきます。

スマホの使用時間が長いほどテストの点数は悪くなる

上の表は、東洋経済オンラインに掲載されているグラフで、川島隆太先生の調査によるものです。「脳トレ」を監修した先生でも有名ですね。

さて、グラフによると驚くべき結果が見えてきます。グラフは右に行けば行くほど、スマホ使用時間が長くなり、数学のテスト結果も全体的に悪くなっているのがわかります。それは、誰もが予想できることでさして驚きもないことです。「スマホの時間が長くなれば、勉強時間も減るから当たり前でしょ」ということなのですが、驚くべき結果は色分けされたグラフの方です。スマホの使用時間が長いと家庭学習を2時間以上している生徒でも成績は落ちているのです。

この結果のみで考えると、勉強時間を確保できていてもスマホを長時間使用すれば成績は落ちるということになります。

スマホをやめれば成績は上がるのか

では、スマホをやめれば成績は上がるのでしょうか?答えはおおむね「Yes」ということになります。その理由は、スマホを長時間使用すると勉強時間を確保していても成績が下がる理由にもつながります。

なぜ、勉強時間を確保していてもスマホを長時間使用すると成績が下がるのでしょうか。その理由は「マルチタスキング」が関係しています。長時間使っている生徒は、勉強中にLINEやツイッターなどのSNSを使ったり、音楽を聴いたりYouTubeなどで動画をみる、いわゆる「ながら勉強」になっている可能性が高いです。調査結果では、なんと、スマホを所持している7割以上の中学生が、家庭で勉強中にスマホ等を操作していることが判明しています。3割以上の生徒は学習中にゲームで遊んでいました。(スマホゲームを起動させておいて、ゲームの待機時間が終わればまた操作するということが間々ある)

スマホを持ってしまったら、いけないと思っていても、ゲームで遊んだり、友達とメッセージを交換しなが勉強をしてしまうのです。そして、スマホでながら勉強をしている生徒は偏差値3~5も下がっている結果もでているのです。

なぜスマホをやめれば「おおむね」成績は上がると書いたかというと、スマホの使用の仕方に個人差があるからです。いつも「ながら勉強」をしていたり、スマホを優先してしまって勉強時間が確保できていない生徒はスマホをやめることができれば成績は上がる確率は高いでしょう。一方で、スマホを使用していてもきっちりと自分でルールを作り、しっかり管理できている生徒は成績に影響は与えていないといえます。

実際に、グラフのデータからもスマホの使用が「1時間未満の生徒」は「全く使用しない生徒」と成績は変わらないどころか、少し上がってさえいるのです。これは、「1時間未満の生徒」は自己管理ができているので、スマホをうまく活用できていることが、成績にもポジティブに働いているのではないかと予想されます。

話し合ってルールを決める

スマホをやめることで成績は上がる可能性が高いとはいえ、無理やり取り上げたり、親が時間を強制しても期待したほど効果は見込めないです。スマホの時間は減ったとしても、前向きに勉強に取り組もうという気持ちはなくなってしまうからです。

ここは、家族でしっかりと話し合いスマホのルールを決めることが大切です。子どもの意見を聞き、自分自身でルールを決めるように促してください。そして、それをサポートすることが親のもっとも重要な役割といえます。たとえば、親がテレビを見たりスマホで遊んでいたりすると、子どもだけがテレビを見れずスマホを使えないという状況になります。それでは、「なんで自分だけが?」という気持ちになります。サイモン効果でも実証されているとおり、集中力は伝染します。手っ取り早く集中力を高めたければ、努力している人のそばで作業をするのが良いでしょう。図書館や自習室のような環境を家庭で作るのがおすすめです。

「子供のスマホのルール」を作りたければ「家庭のルール」を作ってみるのはどうでしょうか?もちろんご家庭の事情は多々あるかと思いますので、それぞれの家庭で適したルールを決めるのがよいでしょう。

まとめ

■スマホの使用時間は長いほど、勉強時間に関係なくテストの点数は低くなるデータがある
■勉強中にスマホを使用していると「マルチタスクキング」になり、学習効率は非常に悪くなる
■スマホは1時間未満であれば成績に影響が無い。自制できる能力は成績にポジティブに働く
■スマホを所持するならルールを作り、徹底して守る習慣をつけよう
■ルールは子ども主体で作るようにしよう