第6回 中学受験における親のかかわり方【中学受験②】

 中学受験をすることは、家庭にとっても子ども自身にとっても大きな一大イベントになります。仮に小学4年生から受験勉強を始めたら、ほぼ3年間という長丁場になるので、家庭での親のかかわり方というのは一つの大きなテーマになります。

まずは一般的によいとされている関わり方についてまとめてみます。

●子どもの自主性を尊重する
●親は一つ一つに口を出しすぎず、サポート役に徹する
●テストや模試の結果に一喜一憂しない

子供の自主性を尊重する

 まだまだ小学生だから、親の判断の方が正しいからと上からの目線でみるのではなく、子ども自身の自主性を尊重しましょう。進路について考えるときは「あなたはどう思う?」「どうしてそう思うの?」という具合に子ども自身の考えをじっくり聞いて、できるだけ尊重してあげましょう。親が決めたことよりも、自分で決めたことは最後までがんばることに繋がりやすく、受験も成功しやすいです。

 一方で自主性が足りずになかなか自立できない子どもには、「~しなさい」という命令形ではなく、「○○○と●●●どっちからやる?」とか「何時から勉強始める?」など選択肢を与えることで行動しやすくなります。また、家族で一緒に集中して何かをする時間を作るのもオススメです。

親は一つ一つに口を出しすぎず、サポート役に徹する

 私の経験上、積極的に関わる保護者の生徒は宿題もしっかりやってきて、成績もはじめからよいことが多いです。ですが、度を越してすべてを管理しだしてしまうと子どもの意欲がそがれ、自主性も育ちません。そうすると6年生になって伸び悩み、志望校に合格できないこともめずらしくありません。親はサポート役と認識し、子どもの生活面や精神面などのサポート役に徹すると子どもは失敗と成功と繰り返しながら、自分なりの勉強法を身に着けていきます。さらに、両親が普段通り接してくれると、子どもにとって安心できる場所になり、受験勉強という荒波に立ち向かうことができます。

テストや模試の結果に一喜一憂しない

 テストや模試というのは数字で現状をつきつけられますので、悪かったとき親は冷静でいるのは難いかもしれません。しかし、そこで感情的になって「何でこんな点数なの!」「次悪かったら受験勉強をやめなさい!」などと声をかけると、短期的には効果があっても、長期的には効果がありません。なぜなら、『結果(テストの点数)=評価』になり本当の成長にはつながらないからです。まずは子ども自身に今回の結果についてどう思うかを答えてもらい、あまり満足していないようなら、テストまでの取り組み方を指摘しましょう。


 中学受験勉強の目標は志望校に合格することです。では、なぜその学校に合格したいのか?と考えると、子どもが良い環境で切磋琢磨し成長していってほしいからではないでしょうか。そうであるならばテストの点数や志望校の合否というのは子どもの成長過程の中にあるものと言えます。そのように考えると、点数が悪いことは現時点で何かしら課題があり、それを乗り越えるチャンスだととらえ、なぜ点数が悪かったのか、何が原因だったのかを考え、実行し、次に活かすことこそが大切です。つまり、『努力(壁を乗り越えるために考え実行すること)=評価』だとメッセージを送ることが、本当の成長につながるのです。

ここからは、塾の立場から、成績を上げるために取り組んでほしいことを3つに絞って挙げていきます。

●計算や漢字など基本的な内容は家でも指導する
●1週間のスケジュールとテスト前のスケジュールを一緒に作成する
●間違い直しの時間を作る

計算や漢字など基本的な内容は家でも指導する

 中学受験の内容の指導は方程式などを使わず、一般的には見慣れない解き方もありますので、すべてを家庭で見るというのは難しいことが多いです。また、教えたとしても塾と教え方が違うと子どもにいわれることも多く、基本的に指導は塾に任せるという形になります。しかし、計算、漢字、熟語、地名、など基礎となる部分は家庭でも取り組むことをオススメします。基礎の部分をしっかりしておくことで、算数の応用問題や国語の文章問題にも集中できます。中学受験では計算や漢字も1学年上のものを短期間で習うので、はじめて学習する子どもにとっては大変です。特に入塾して3か月~1年はそういった基礎部分で引っかからないよう気にかけてあげるとよいです。

1週間のスケジュールとテスト前のスケジュールを一緒に作成する

 スケジュール管理は特に大切になります。最近は習いごとをしながら受験勉強をする子どもも多く、なかなか自分では時間の管理が難しいことも多いです。宿題をするスケジュールや、テスト前1週間の復習するスケジュールを子どもと一緒に考えて作成してみてください。

スケジュールの作成にはこちらの記事も参考にしてください。

まちがい直しの時間を作る

 成績を上げるために家でできる最も効果的なことは?と聞かれたら迷いなく「間違い直し」と答えます。普段の勉強で間違えた問題を放っておくとテストでも間違えることになるからです。また、テスト前の勉強もすべてをもう一度やり直すのは理想ですが、時間が取れない場合は間違えた問題だけをやり直すのが効率的です。そのためには、間違えた問題は×をつけておき、正解したけどもう一度やった方がよいな思う問題には☆をつけておくなど、普段から工夫をしておくとよいでしょう。
 また、テストを受けたあとも大事です。テストは子どもが準備して一生懸命取り組んだ最高の学習素材です。記憶が残っているうちに(できればテスト当日~3日以内)何を置いてもテストの直しをすることが長期的に実力をつけていくことに繋がります。
 こういった間違い直しというのははじめから自分ですることは難しいでしょうから、家庭で話をして時間を作ってみてください。

 子どもとの接し方というのは子どもの性格や、保護者の方の時間などの問題もありますので、ベストではなくても、ベターな方向を目指すという気持ちで取り組んでみてください。中学受験というマラソンの一助になれば幸いです。