第4回 私立・国立中学に進学する理由【中学受験①】

私立中学や国立中学への進学は、全国平均で10人に1人、東京では4人に1人となっています。広島県では国立・私立への進学率が11.4%(全国5位)ですので、受験率は15%前後と推定されます。つまり6~7人に1人が受験という計算になります。学校が多数ある都市部の小学校になるともう少し受験する人数は多くなるでしょう。

広島県は伝統のある私立校も多く、受験率は全国でも高めです。2008年のリーマンショックの時には受験率は落ち込んだものの、30年の長期スパンで見ると中学受験率は徐々に上がっています。

さて、中学受験を経て進学する私立中学や国立中学を選択する理由としては次のようなものがあります。

●レベルの高い友達と切磋琢磨できる
●施設などの環境面が良い
●独自のカリキュラムを組む学校が多く、大学受験対策もしっかりしている
●時代に合わせた最先端の教育を実施している学校もある
●新しい環境にしたい(地元の学校に行きたくない)
●友達の影響

レベルの高い友達と切磋琢磨できる
 受験をしてきた子供たちはおおよそレベルが揃っていて、自分と価値観や考え方も似ている友達が見つかりやすいでしょう。また、学校の教師の立場からもレベルが揃っていると教えやすく、授業の質が高くなります。中・高6年制の学校も多く、6年間を通じて生涯の友人にもなることもめずらしくありません。

施設などの環境面が良い
 私立校は施設面も整えている学校が多く、ガラス張りの教室や、人工芝の運動場、カフェテリアなど子どもが「オープンスクールでこの学校に行きたい!」となるくらい魅力的な学校が多いです。

独自のカリキュラムを組む学校が多く、大学受験対策もしっかりしている
 中高一貫制の学校が多く、高校入試が実質ありません。6年間の予定を組むことで、高校2年までに高校生のカリキュラムは終わらせて、高校3年では入試対策に充てることで大学受験に強みを発揮しています。

時代に合わせた最先端の教育を実施している学校もある
 叡智学園(HiGA)は全寮制で、国際バカロレア認定校になっており、高校からは様々な国・地域出身の外国人留学生と学び、暮らす、小さな国際社会の中にいるような生活が始まります。放課後活動や寮での生活でも、英語が飛び交います。これにより、海外大学等に進学した場合でも通用する、アカデミックな英語力を育成します。

 広島女学院では英語のスピーチ・プレゼンテーション・海外研修などを経て高3生の80%が英検2級以上を取得しています。

 県立広島中学校では「ことば科」を設立し、授業でディベート(討論)に挑んでいます。写真を見てそれが何を表現しているのか読み解いたり、ディベートを行ったりすることを通じて、論理的な思考力や表現力を身につけるのが目的です。高校では各自が課題研究を行い、論文を作成します。このような取り組みを土台に東京大学の推薦合格が全国トップになりました。

こういった最先端の取り組みは私立・国立ならではと言えます。偏差値だけでなく、各学校で力を入れていることにも注目し、子どもにはどの学校が本当にあっているかという視点で見ることも大切です。

友達の影響
 中学受験が本格化するのは小5からですが、近年は徐々に早まっていて小4(実際に始まるのは小3の2~3月)から受験勉強を始める方も多くなっています。テキストや全国模試も小4から勉強をすることを前提になってきています。早めに受験勉強を始める方は親御さんが検討している場合がほとんどで、子どもたちもそれに納得してスタートしています。小5~小6になると周りが受験勉強を始めていますので、友達の影響から「私も受験をしたい!」という気持ちになるケースもあります。

私立中学や公立中学に進学するために中学受験をすることになりますが、通常は進学塾で受験勉強をすることになります。受験勉強のカリキュラムは幅はありますが、内容、量ともにハードになりますので、必ずしもメリットばかりではありません。場合によってはデメリットの方が顕著に出てしまうこともあります。学校の勉強と受験勉強のレベル差は非常に大きく、宿題も1科目30分~1時間はかかります。3科目の宿題だと1.5時間~3時間の勉強量になります。学校の宿題しか取り組んでいなかった生徒にとっては大きなギャップになります。また、模試の点数や順位、クラス変更で常に比較される環境もストレスがかかります。
しかし、これらを乗り越えた生徒は驚くほど鍛えられ、中学生以降の大きな飛躍につながります。
乗り越えるために必要なことは保護者の方の理解とサポートです。中学受験は子どもと保護者の共同受験だといえます。
受験勉強に向いているかどうかを判定するには、全国統一小学生テストなどの無料テストに参加するのがおすすめです。

中学受験での親のかかわり方・中学受験のメリット、デメリットについてはまた記事にします。